第11章 Sunny Sunday(黒尾 鉄朗)
「まだ怒ってんの?」
鉄朗が困ったように私を見下ろす。
「ううん。もう怒ってない。」
そう言って私は彼の胸に顔を埋めた。
「映画の予定だったけど変更して、ここでお茶する?駅ビル新しくなったみたいよ。」
彼を見上げて私が提案する。
「お、いいねー。俺行きたい店あるんだけど。」
手を繋いで歩き出す。
「どこ?」
「アップルパイがおいしいって噂のカフェ。」
「アップルパイ?鉄朗好きなの?」
「いや、研磨が好きなんだよ。
本当においしかったら今度あいつと来ようかなと思って。」
「……鉄朗って頭悪くないはずなのに残念なところあるよね。」
私が不機嫌な声を出すと、鉄朗は慌てて弁解を始めた。
「いや、凪沙もきっと好きだと思うよ。おしゃれでかわいいってネットで紹介されてたから。」
「はいはい。」
鉄朗のことはかっこよくて大好きだけど、
孤爪君の話をする鉄朗のことを実はちょっとかわいいなあと思っていることは、まだ秘密にしておこう。
「Sunny Sunday」Fin.