第3章 浅黄色の旋風
「こんなところで何してるの? 随分と楽しそうだけれど」
浅黄色の羽織を纏ったその人は、顔だけをこちらに向けてにっこりと笑った。
「お……お前は、新選組の沖田‼」
「あ、僕のこと知ってるんだ。だったら……話は早いよね?」
シャキン――と鋭い音を立てて刀を出すと、浪士達が一歩後ずさりをした。
「今すぐここから立ち去るか……それとも……僕に切られるか」
「っ‼ お、おい、行くぞ!」
沖田さんが冬の風よりも冷たい視線を投げると、浪士は慌てて走り去ってしまった。
あっと言う間の出来事にぽかんと呆けていると、ずいっと沖田さんが顔を覗き込んできた。
「ちゃん? 大丈夫?」
「は、はい‼ 大丈夫です‼」
ハッと我に返ると、思いの外沖田さんの顔が近くにあって思い切り顔を背けてしまった。
顔を向けた先に見えたのは、地面に広がった荷物。急いでしゃがみ込んで拾い集める。すると、
「ふっ……」
「? 何ですか?」
落ちていたものを袋に詰めて立ち上がると、沖田さんは笑うのを必死に堪えていた。