第5章 玉狛支部
私は迅さんと一緒に林藤支部長の元に向かっていた
迅「何で転属してくれるんだ?」
夏海「自分でも、よくわからないんです。初めて迅さんに会って『転属しないか』って言われたときは、『何で?』って思いました」
迅さんは苦笑しながら聞いている
夏海「でも、ここの人たちに会って『ここがいい』って思ったんです。『もしかしたら自分を変えれるかも』って
迅「そうか、ならよかった」
夏海「?」
私は首を傾げて迅さんを見る
迅「いや、なんていうか、もう紹介しちゃったから、仕方なくって思われたかと思ったんだ」
夏海「そんなこと……」
迅「うん、さっきのはなし聞いてわかった。でも、『自分を変えれるかも』ってどういうこと?」
迅さんは首を傾げて聞いてくる
私は不意に足を止め、立ち止まってしまった
夏海(人を信じることができない私を…………)
迅「ごめん。言いづらいなら無理に言わなくていいよ。ごめん。嫌なこと思い出させて……」
迅さんはなにも悪くないのに、苦しげな顔をしている
でも、私はなにも言えずに首を横にふるだけだった