第19章 過去の真実
迅「………夏海はそのあといきなり叫び出して気絶した。
その時初めてサイドエフェクト使ったんだろ?」
夏海「……はい…」
迅「本当はもっと早く言わなきゃって思ってた………。
けど、最近一緒に行動したり、修行したり、おまけに師匠にまでなった。
嬉しかった……。嬉しかったけど………俺はお前の師匠でいる資格はない……」
夏海「……勝手に決めないでください。……迅さんが私の師匠です。迅さんしかいない」
迅「……!」
夏海「……迅さんが責任を感じてるのはわかってます。
けど、私も玉狛に入って何も見てない訳じゃない。
迅さんがどれ程苦労してるか少しは理解できてると思ってます。そして、サイドエフェクトで見えた未来を少しでもいい方向に持っていこうと苦労してる姿も見てきました。
………私はあのとき何もできませんでした。
……確かに私だけを助けた人を恨んだこともあった……。
でも今は生きててよかったって思います……!
迅さんに助けてもらってなかったら私は京介や、ボーダーの仲間たち、“大切なもの”に出会うことすらできなかった。
………だから、ありがとうございました、迅さん。
……………私を助けてくれて……」
迅さんは私を見た
迅さんは驚いている
迅「……俺を……責めないのか?」
迅は限りある未来の中でもこの未来は可能性が低かった
それを夏海は選んだのだ
夏海「責めないですよ。………迅さんは私の恩人ですし」
迅「……だが、……」
夏海「迅さん。あまりしつこいと怒りますよ?」
迅「…!……悪い……」
夏海「……迅さんが責任を感じてるなら、私の師匠として私を強くしてください」
そういうと迅は目を見開いたあとフッと笑った
迅「まったく、…………俺の弟子は……」
夏海「……師匠が師匠なら、弟子も弟子ですからね」
迅「………そうだな」
私は空を見上げた
星が輝いているが、さっきみたいに靄はかかっておらずきれいに見える
何かがすっと抜けたように気が楽だった
ふと、私は迅さんを見た
夏海「迅さんはこの事でずっと負い目を感じていたんですか?」
迅「…………ああ、まあ、そうだな……」
夏海「そうですか……」
私は再び空を見上げる