第10章 夏風
廉side
ーーーーーーーー
オレの気持ちが落ち着いてきて、やっと普段通りの調子に戻ってきたかと思ってたら、今度はめぐみが急に黙ってしまった。
けど、理由はわかってる。
あの件以来、夏祭りに来ると毎年、めぐみはこうして黙り込む時間が、ほんの数分だけどあって、、
オレは毎年、どう話しかけてやればいいのか、悩むからだ。
あの年の夏祭り、オレは、めぐみが矢吹を誘ったってコトは、めぐみから聞いてて、知っていた。
だけど、普段目立ちたがりの矢吹からは、その話を聞かなかった。
でも、いちいち女子と出掛ける話なんかして来ねーだろうと思って、オレは特に気にしていなかった。
オレはあの頃、というより、今もだけど、、
奈緒ちゃんみたいなタイプは、なんだかんだ言っても打算的だってコトは、みんながそれとなく気づいてるコトだと思ってた。
だから、やたらとめぐみと話す矢吹に絡みに行ってんのが、気になって、、
オレは、【 めぐみ、矢吹、奈緒ちゃん 】の3人だけで接触しないように、めぐみに話しかけた。
やっとできたと思った友達が、
【 実は、仲良い男友達狙いでした。】
なんてコトにならねーように、休み時間や放課後も、オレは自分からめぐみに用事を頼むようにしていた。
……奈緒ちゃんが、めぐみを傷付けないよう、
……見張れるように。