第8章 想っているから。
笠松side
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俺は一旦帰宅して、自分の部屋でひとり、さっき三嶋が話してくれたことを思い返していた。
…あいつは悪くねぇ。
悪いのは、あいつを利用したヤツらだ。
でも、純粋な怒りだけじゃなく俺は…
玉利が惚れてたっつう野郎を想像するだけで、イラついていた。
…あいつが、他の野郎と……
それに、三嶋にそれを打ち明けてるところを思い浮かべる。
……俺がそばにいてやれればと思うと、自分自身に腹が立つ。
「…でも俺、思うんですけど、、笠松先輩なら、めぐみの信頼、勝ち取れると思うんです!」
ふと三嶋の言葉を思い出す。
「…俺、めぐみのこと幼稚園のときから知ってるんすけど……
めぐみ、笠松先輩の話してるときが、いままでで一番嬉しそうなんすよ。」
「つい一昨日だって、笠松先輩が、肉じゃが褒めてくれたって、ずっと俺のとこ来てはしゃいでたんすよ。」
あいつが、過去の苦しみから、ひとりで逃げ出すことができねぇなら……
「だから……
めぐみの壁、壊してやってください。」
…せめて俺は、
「……俺が壊してやるよ。」
めぐみの隣に居てやりたい。