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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《3》

第10章 前に進んで




黒子side


何とか彼らに理由をつけて桃井さんと共にストバスコートへ向かうと、赤司くんが1人で地面に膝をついていた




「赤司君?」


「赤司君、名前ちゃん、は?」


「…消えたよ。緑間達は?」


「火神君に任せてきました」


「…そうか」



彼は膝をついたまま動こうとせず、手に持っている何かを凝視していた。それが何なのかと見ようと回ると、ボクが名前さんにあげたミサンガが手に乗っていた




「…それ」


「名前が消えてから、コートに落ちていたんだ。それからずっと…音を発していてね」



彼の手に乗っているミサンガは彼が揺らしているわけでも、風が吹いているわけでもないのに鈴が揺れて鳴っていた

ミサンガから赤司君は視線を動かそうとせず、そのままボクらに話を始めた




「…名前が言っていた」


「…?」


「…「もうこの世界には来れないかもしれない」って」


「うそ…っ、!名前ちゃんまた会えるって言ってたよ!?」


「それに関して、謝っていたよ」


「何で…そんな大事な事言わなかったの…」


「…オレに名前は「忘れて、前に進んで」と言って、押して外に出したんだ。それから割れて…消えたんだ」


「割れ…た?」


「透けて、消えるじゃないんですか?」


「いや…割れたよ」



彼の話に「そうですか」とボクは返事をして、彼女が何をしたかったのかを考えていた。それよりも、赤司君になぜ記憶が残っているのかボクは聞きたい…けど、それはきっと今から話してくれる雰囲気を、悟った




「あと1つ、理由はわからないんだが…恐らく名前は、自らか時間切れで消えた」


「自ら…ですか?」


「オレは名前に押されて倒れた…が、倒れただけで外には出ていない。ならオレがいる限り名前は消えないはずなんだろう?」


「何で…名前ちゃんに自ら消える必要があったの?」


「…さあな」



その答えはボクがいくら考えても出てくるわけがなく、ただ謎が増えただけだった

赤司君からの話の数秒後、赤司君の記憶が残っていることにボクはようやく気がついた

それについて詳しく聞こうとすると、赤司君は「お前らに頼みがある」とこっちを向いていた





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