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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《3》

第10章 前に進んで




次に目を覚ますとあたしは布団の中で寝ていた

目尻からは涙が伝っており、身体がやけにだるくって、お自分の部屋の様子を見て記憶が蘇ってきた




「…確か、熱出て休んで、寝てたら…トリップして…」



そうだ!と思い出しガバッと起き上がると頭痛と少し目眩がした。それからJabberwockと戦った記憶と、彼らの前でまた消えた記憶がどんどん戻ってきた

それを思い出してから、「征十郎は、どうなったんだろう」と呟くと、誰もその問いには答えなかった

夢なのか現実なのか分からないがとりあえず水分を取ろうと立ち上がろうとすると、手首に違和感を感じた




「…これは、確か…」



テツヤがくれた、ミサンガだ。と理解したあたしは思わず目を見開き、手首を凝視した

確か前回は誠凛で撮った写真と、キセキ達と撮った写真がついて来たが、まさかこれだとは、思ってもいなかった




「…もう、会えない」



そう思うと涙が再び溢れ始め、目を擦った。しばらくして立ち上がるとたまたまなのか「黒子のバスケ」が目に入った。全巻揃ったそれは「EXTRAGAME」で止まっていて、もう動くのかはあたしに予想はつかない




「…」



手首を動かすとリンリンとミサンガが小さく音を発し、それをしばらく続けたあたしは今度こそと立ち上がった

そのまま歩き、ネクタイとリボン、写真が仕舞われている箱を取り出して中を開けた

少しの間思い出に入り浸ってから、ミサンガをあたしは外して箱の中に入れて蓋をしめた




「…さよ、なら」



そう呟いて箱を奥に仕舞い、涙を頬に伝わせて、あたしはその場から離れた

その箱の中にはたくさんの楽しくて、悲しくて、辛くて、枷となる思い出が詰まっていた






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