第10章 前に進んで
それからさつきは「そうだ!」と言ってカバンの外ポケットからラッピングされた袋を「はい!」と言って差し出してきた
「…これは?」
「写真立て!それは私からで、みんなで撮った写真飾って欲しいなーって思って!で、ほら大ちゃん!」
「…おらよ」
「これは、櫛…かな?」
「お前髪まあキレーな方だろ、だからやるよ」
「待てこれつげ櫛だよ。高いやつだよ」
「…知らね」
そう言ってボールの方へ向かった大輝の耳はなんだかんだ赤くなっており、ああ照れてんだろうなぁと思いながら笑みを浮かべた
するとテツヤも何かあるのか「良かったら僕からのプレゼントを受け取ってくれますか?」と言われ頷くと「手首出してください」と言われ、疑問を抱きながら右手首を出した
彼はポケットから赤い何かを取り出し、手首につけた
「…はい、どうぞ」
「え、これ…ミサンガ!?え、なくしたはずじゃ」
「実は六本木の方に落ちてたらしくて、例のキャバクラの方から頂きました
一部切れていたので一応ボクなりに直してみたのですが…もしあれでしたら…」
「ううん!ありがとう!!失くしたと思ってたからすごい嬉しい!!」
そう言いながら手首をブンブン振り回すとテツヤはホッとしたように笑ってから、「そんなに振り回すと吹っ飛んできますよ」と笑みを浮かべた
そんな彼の後ろの方へ視線をやると赤い髪を揺らしながら、征十郎が「待たせたね」とやってきた
「名前はそんな荷物を持って何をしていたんだい?」
「何かプレゼント渡そうと思ったらみんな今日渡しちゃったみたいで…いやぁこういうのってやっぱ考えるの同じなんスね~」
「じゃあオレからはこれをプレゼントするよ」
そう言った彼はあたしの首に手を回し、チャリ…と音を鳴らし、冷たさを感じたため金属の何かをつけたと判断した
何をつけたのかと首元を見ると、赤いスワロフスキーなのか、それがついたネックレスがかかっていた