第10章 前に進んで
苗字side
約束した翌日、集合時間の30分前にストバスコートに入ってみると誰もまだ来ておらず、足元にボールが転がっていてふとそれを取った
取る時に手首についているミサンガが揺れて、鈴が鳴った
「…シュート、撃てるかな」
そう呟いてドリブルをしてからドライブを始め、適当にシュートを撃つとたまたまなのか、リングを綺麗に潜った
その一連の動きにガッツポーズをしてその手を見つめていると、後ろから声が掛かった
「苗字か、早いな」
「緑間、予定時間より早くなーい?何、楽しみだったの?」
「なっ何を言っているのだよ!たまたまだ!」
「へー…」
「…お前にこれをやるのだよ。今日のお前のラッキーアイテム、ピンクのヘアピンだ」
「はあ…」
何なんだ、緑間はヘアピンをあげるのが好きなのか
そうも思いながら受け取ったヘアピンを髪につけてから再びボールを拾いシュートを撃とうとすると緑間に「待て、フォームがダメなのだよ」と口を挟まれた
彼はそう言ってからあたしに近づいて、ボールを持つ手に自身の手を添えた
「もう少し腰を落とせ、ゴールから目を離すな」
「あ、こう?」
「良し、撃て」
「戻るぞ…って?」
「そんなとこ真似しなくていいのだよ!」
彼の反応に笑っているとそこにお菓子を食べながら紫原がやってきた
モグモグと食べながら彼は「おはよ~」と挨拶をして、彼らの様子を見てから持っている紙袋を漁り始めた
「名前ちん、これあげる~」
「…チョコの形したストラップ?」
「ん~、なんかさっきお菓子食べたら当たりでたんだけどねー?もう1個もらえるのかと思ったらこれだった~
名前ちん、チョコ好きでしょ?」
「…ああ、ありがと」
どこに付けようかと悩んだが、前に紫原に渡してしまったから携帯ストラップが無いことを思い出し、ポケットから携帯を取り出してそれに付けた
素材は固くはなく、携帯を傷つけるようなことはなさそうだった