第7章 「天帝の眼」と「魔王の眼」と「本気」
シルバーにボールが回り1対1になった状態で、紫原は彼の後ろで福井と岡村に教えてもらった事を思い出していた
「違うそうじゃない!もっと腰を落とすんじゃ!そんで上体はもっとおこす!」
「あーもーうっさいしー!!」
「力を逃がさず100%発揮するには正しい型があるんじゃ。紫原お前はまだムダが多い!根武谷とかがうまいんじゃぞ」
「つーか今までどんだけ才能にまかせてやってたんだよ。なんなら火神の方ができてたんじゃねーのか?」
「…むっか~!」
「そんなんじゃお前よりデカくて力ある奴に手も足もでねーぞ」
「いないじゃんそんな奴…てかWC終わったんだから早く引退すれば~?」
「お前マジブッ殺すぞ」
「まぁそう言うな、その引退前の置き土産じゃ。お前が強くなって今度こそ陽泉が優勝するためのな
ほらもう1本!」
「はー…もういいよ~アゴは」
「アゴは!?」
それを思い出しながら紫原はプレイするがやはりシルバーには追いつけず、DF時にシュートは決められ、OF時にはブロックされそれを何とか周りでフォローするというふうになっていた
だがそれでもジワジワと点差が開いていき、彼は現実をようやく受け止めた
「(ヤッバ…マジで初めてだこんなの。オレが全力でぶつかってもビクともしないなんて
あの時は本気で自分より強い奴がいるなんて思ってなかった。けど…いたんだ。実際こんな奴が)」
彼の言うあの時とは研究の時の事で、それを思った紫原は一瞬笑い、陽泉寮で見ている劉と氷室が目を見開いた
「今一瞬笑わなかったアルかアイツ…?まさか諦めたとかじゃ…」
「…いや、たぶん逆だよ…劉」
それについては黒子も同じことを考えているのか、ベンチで「今の表情は…見たことがあります」と話を始めた
「今まで何度も見てきた…強敵に挑むことを心から楽しむ、火神君そっくりです」
どうやらそれは本当のようで、次にシルバーが動こうとすると紫原は動けないほどの力を持っていた
それをシルバーは[前半同様ふんばるのに目一杯なだけだ・ここからの変化についてこれる余力なんざねぇ!!]と思いバックステップからフェイだウェイシュートを撃とうとした
だが紫原はそれに付いて行き、シュートを見事なまでにブロックした