第6章 「ゾーン」と「模倣」
[がっ…(なん…だとぉ~!?)]
「うわぁあマジか!?シルバーをふっとばして決めたぁー!?」
[バカな…!!体勢が不十分だったとは言えシルバーを…!?]
「(黄瀬…お前)」
「(入ってやがる…!!ゾーンに…!!)」
「…ってことは、ゾーン+完全無欠の模倣!?」
「そんなの…」
「保って数分なのだよ…だがもはや断言できる。今この瞬間だけは、コート上の選手で最強は黄瀬だ」
火神の思う通り黄瀬はゾーンに入っており、黄瀬のプレイによって観客はとても歓声をあげていた
そんな彼の活躍をみながら赤司は彼と、脳内で会話をしていた
「聞こえるか。頼みがある」
「…ああ、察しはついている。そろそろだと思っていたよ」
「力を貸してくれ。お前の眼が必要だ」
「かまわない…だがいいのか?僕は彼らの敵だった存在。プレイが噛み合わずチームバランスを狂わせる事もありうるぞ」
「大丈夫…彼らは変わった。もう誰もお互い敵などと思っていない。そしてそれはお前も同じだろう?」
「…わかった、僕も戦おう。チームの勝利の為に」
そんな会話中、第3Qは終了し60対70で、黄瀬の活躍により10点差まで追いついた
しかしそれに伴い黄瀬の体力はほぼ少なく、彼に手厚く処置を行われていた
「大丈夫黄瀬君!?アイシング、もっとお願い!!」
「(まだだ…まだ動ける!搾り出せ…!最後の一滴まで!!)」
そしてすぐに第4Qは始まり、観客は「あと1本で1ケタ差だ!!」と歓声をあげていた
それに応えるべく黄瀬はハーフコートラインの少し後ろで緑間の模倣でシュートを撃とうとした。が、彼のてから離れたボールはすぐ目の前で落ち、それに比例するように黄瀬はヘタ…と倒れ込んだ
黒子は思わず「黄瀬君!!」と叫び、まるでそれが分かっていたかのように選手交代が言い渡され
「ははっ…カッコわりー
(あーあ…ちぇっ…最後決めて終わりたかったのに…もう1ミリも動けねーっスわ)」
「カッコ悪いものか、ここまでよくやった。あとは任せろ、涼太」
「…え?(赤司っち…?)」
「(この雰囲気…まさか…)」
黄瀬に手を貸して戻ってきた赤司の様子を見た緑間、間近で見た黄瀬は目を見開いて様子が違うことに気づいた