第5章 点差
先ほどの雰囲気とは打って変わった流れに日向は「ひるむな!!決め返してやれ!!相手の意表をつくパスなら…ウチが専売特許だ!!」と叫んだ。するとまるでそれを見かねていたかのように黒子から火神へのパスが回された
そのまま火神がアリウープを決めようとすると、シルバーが追いつきボールを弾き飛ばした
「なっ…黒子から火神の連携に追いついた…!?」
「そんな…(視線誘導は機能している。完全に虚をついたパス。なのに…シルバーの反射速度はそれを上回るの!?)」
相田はシルバーの反射速度に驚いていたがそんな事を考える間もなくJabberwockのカウンターが始まった
3対3でナッシュがボールを持つ中、彼は予備動作のないパスでシルバーへパスを回した
「くそっ…!!」と黄瀬が振り返ると青峰は「しまった…スキンヘッドの方へのパスに気をとられて…ヘルプに間に合わねぇ!!」と走り出した
ダンクを決めようとするシルバーと止めるべく紫原が跳ぶも、彼の力は上がっており、「ちょっと待てふざけんな。まさか…前半あれでまだ全力じゃなかったのかよ…!?」と紫原は吹っ飛ばされた
「うわぁ決まったー!!直前のブロックといい…どうなってんだ!?シルバーの強さが一段と増してる…!!」
そう観客が驚いているとコートの地面には紫原からの血が垂れ、レフェリータイムが出された
どうやら彼は頭に怪我を負ったらしく、緑間と苗字は思わず「紫原…!」と叫んだ
駆け出した苗字は救急セットを持ち出して、紫原の前に立った
「頭が高いぞ屈め」
「何それ、赤ちんの真似~?」
「似てる?」
「似てないに決まってんじゃん」
クスクスと笑いながら苗字は屈んだ紫原の怪我元を探り、見つけて消毒液を掛けて、処置を始めた
「頑張ったらお菓子買ってあげるから、ね」
「お菓子じゃなくても、くれるー?」
「…何?」
「…名前ちん、敦って呼んでよ」
そう言った彼の顔は少し赤く、処置を施している苗字は気付かなかったが笑った
「うん。わかった。頑張って敦」
「…ん、がんばるね~」
そう言った彼女はポンッと紫原の頭を優しく叩いてベンチへと戻って行った