第12章 🍏Story11🍏 想いよ届け
宏光side
『アンタも自分の本当の気持ちを伝えろよ。』
昨日の放課後、まさか高地に背中を押されるなんて思いにもよらなかった。
だから今日、決心が鈍らないうちに俺の気持ちを伝えることにした。
「っ琴吹、まだ帰ってないといいけど......」
宏光は早歩きで百合がいる教室に向かっていた。
『琴吹とも、必要最低限に関わらないでください。』
「っ......」
『やっと進路も定まってきたのに、こんなことで潰れて欲しくないですから。』
だが脳裏に唐突、昨日太輔に言われた言葉を思い出してしまった。
「っ......」
そして宏光は足をその場で止めてしまった。すると、
「北山先生、何そんなところで突っ立てるんすか?
早くしないと百合が帰っちゃいますよ。」
「っ高地......」
涼介と一緒に部活へ向かう途中の優吾が前から声をかけた。
「......安心して行ってきて大丈夫ですよ(微笑)」
「っ......わりぃな高地(苦笑)」
またカッコ悪いとこ見せちまったよ......(苦笑)
そうだな、琴吹が帰らないうちに急がないとな。
宏光は再び足を教室に向かわせた。
「おい高地、お前さっきから何言ってんだよ(苦笑)」
「別に、なんでもねぇよ。
ちょっとした魔法をかけただけ(笑)」
「なんだよそれ(苦笑)」
「いいからいいから!早く部活行こうぜ!」
「はいはい......」
(マジで何なんだよ......汗)
涼介は最後までチンプンカンプンだった。