第23章 ★紫色との大戦★

残り僅か、氷室のパスを受けた紫原はとどめをさすため全力で跳びあがる。


氷室『行け、もうパスはいい。ここで決めるのがお前の仕事だ』


すかさず火神が応戦、だがここにきて更にパワーを増した紫原のダンクに圧されようとしていた。その瞳には細々だが、閃光が灯っている。


『っ！！！まさか！！』




押し負けそうになる火神の元へ木吉の力が加わり、二人の全力の力が紫原を押し破った。


カウンターを仕掛ける誠凛。だがその前に余りにも早すぎるスピードで紫原が立ち塞がった。そして火神はようやく気付いた。紫原がゾーンに入っていることを。


『『『『火神！！！！』』』』


火神『(まだだ、絞り出せ！！最後の一滴まで！)俺達は勝つ！！みんなの想いを背負って決めんのがエースだ、限界なんていくらでも超えてやる！！』


ダンッ！！と勢いよく跳び上がる。しかしその角度はダンクに届かない距離、なのに高さが段違いに上がっている。火神は何かをやろうとしているのだ。それはアレックスがよく分かっていた。


アレックス『(まさかやる気かあれを。だがゾーンに入ってる今なら出来るかもしれない。陽炎シュートを静の技とするなら、動の技とでも呼ぶべき無敵のダンク)流星のダンク！！』


轟音と共に紫原の上から叩きつけられたボールはリングを通り、ついに逆転に成功した。


『っすごい！！大我っ！あんなダンク、見たことない！！』


今日１番の歓声が響き、誰しも誠凛の勝利が決まる、そう盛り上がった空気は次の瞬間一変する。


木吉『まだだ！！！』


氷室『アツシ！！！』


速攻で氷室は走り出した紫原へとロングパスを送る。まだ時間は終わってない、だが逆転できたことに気をとられ日向達は反応が遅れてしまった。


更に、火神の体力が底を突き立ち上がれなくなっていたのだ。お構いなしに一人駆け抜けていく紫原、その両手からダンクが決まる...


しかし、ガクッと紫原の膝が動かなくなった。跳べなくなっていたのだ。その巨体でこの試合で何度も繰り返した連続ジャンプの負荷に耐えられなくなったのだ。


紫原『(ふざけんな！ゴールはすぐそこだ、跳べなくても放ればいいだけ..)』


黒子『決して意図していたわけではありません。それでもこれは、木吉先輩達の執念の結果です。



だからこれで！終わりだ！！！』