白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第23章 ★紫色との大戦★
紫原が飛んだと同時、後出しの権利によってボールは下へ放たれ、待ち構えていた伊月の手に渡る。そして、そこからシュートモーションに入る。劉と着地した足で直ぐに再び飛び上がった紫原に囲まれるが、鷲の目を持つ伊月はそれを見抜き、自身の斜め後ろにボールを放った。
青峰『紫原のDFはどんな連続攻撃でも崩せねぇ。なぜなら反射神経+あの体格で大概のシュートに殆ど飛ばずに届くことが出来るからだ。だがCの高さを持つ木吉の中・長距離シュートには紫原でも跳ばなければ届かない。跳べば着地するまでワンテンポ次への動作が遅れる、そこから一手先の遅れを連鎖・拡大させる連続攻撃は、分かっていても追い付けない』
木吉『勝てるかどうか関係ないと言ったが勘違いするなよ。負けるつもりも毛頭ない!!』
ガゴンッ!!と凄まじい音ともにゴールへと叩きつけ、2点取り返した。
そこからも木吉によるPGが続き、味方からパスを受け、そこからもう一度シュートを撃つ。
紫原『(要は跳ばなきゃいいんでしょ...そもそも木吉のこの距離なんてほっといても...)』
と冷静に対処しようとした紫原の脳裏に、先程の木吉の言葉が甦る。
"お前は好きじゃないのか?バスケ"
紫原『っ!!』
氷室『アツシ!!』
苛立ちが勝り、ブロックに跳び上がってしまう。氷室の静止の叫びも虚しく、ボールは伊月から日向へ。そして得意の3Pが決まる。
日向の3Pにより、37対28と誠凛はついに一桁にまで点差を詰めることに成功。それを見兼ねた荒木は緊急タイムアウトをとった。
桃井『確かにすごい、けど木吉さんの中長距離シュートの確率の悪さを考えたら、ムッ君は無理して跳ぶ必要ないんじゃ?』
青峰『そうさせないために伏線張ってんだろ』
立花『伏線?』
『1つ、直前の3P。確率が悪いって言ってもあれはまた入るかもと思わせるのには充分。後出しの権利によって途中まで本気で撃ちにいってるのもある。そしてもう1つ』
青峰『紫原の様子から推測でしかねーけど、多分挑発して怒らせたんだろ。何言ったかは知んねーけど、元からああいうタイプは嫌いだしなあいつは。そういう伏線が紫原の体を咄嗟に動かせちまう。嫌われてる事まで作戦に組み込んじまう、人の良さそうな顔して実は強かもいいとこだ』