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儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第7章 廻り始めた歯車



沖田side

雨宮宗の事が分かって来て、早二日。
詳しい事情などは明らかになり、確保に動き出したこの頃。

沖田はいつもならサボっていた見回りを、今日も欠かさず行っていた。

「ここですね、最後に雨宮宗が防犯カメラに写ってたの。」

山崎は手元の資料と回りの情景を交互にみやり言う。

何十枚にも及ぶソレは山崎には重たいだろうが、自分の仕事だといわれてしまい、沖田は手伝わせては貰えなかった。

その代わり、目を光らせてくださいね。
沖田隊長の方がいろんな角度で見れるでしょ。

と、言われてしまった。

特に異論もなかったので、彼の言う通り目を光らせて、見回りついでに千里に繋がる事を探している。

近くの店の従業員に写真を使って聞き込みをしたり、彼が入った店で何を買ったか調べてみたり。

とはいってもすぐに見つかるわけもなく、既に最終地点に来てしまったのだが。

「何もないですねィ……。」

額の汗をぬぐいながら言葉を発すれば、山崎も同じことを思っていたのか、肩をすくめる。

「何かないんですかね、彼を覚えている人も回りのお店にはいないみたいだし。」

「まぁ、一人一人覚えてる方があり得ないでさァ。」

自分が斬ったことのあるやつでさえ、沖田はいちいち覚えていない。
だから、客ならまだしも通りかかっただけで覚えていろと言うのは無理な話だ。

写真を見せて問うても、難しいことには変わりない。

とくに、雨宮宗は店に入ったものの、何かを買っている形跡はなかったため、レジの店員が覚えていることはなかった。

そして、ここが最後。
本屋だ。

「……行きますか。」

今まで収穫ゼロな山崎は申し訳なさそうに、言葉を紡ぐ。
沖田から言えば彼の足取りを追えたことで充分なのだが、彼はそうとはいかないらしい。

「こんにちはー!」

外装は古く、焦げ茶色の屋根を構える本屋に二人は入っていく。

一番最初に目に入ったのは、先月号の雑誌。
今月号は見あたらなかった。

ここは本屋として大丈夫なのだろうか。

心の中で沖田は呆れた。

しかし、視線を写せば、どうやら大丈夫なようで他にちらほらと客がいる。
全ての人がある程度年を取ってはいたのは気になるところではあるが。

客がお互い挨拶しているところを見ると、常連客がついていることを示していた。

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