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儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第4章 "雪螢"



千里side

堂々とした口調で二人を見据える桂。
彼の心のなかには、自分が負けない自信があるのだ。

桂を失う事は千里達の不利益にも繋がる。容易な攻撃は出来ない。

しかし桂は違う。価値のない人を斬ろうが傷つけようが、関係ない。

よってこの駆け引き、負けは目に見えている。抵抗するだけ無駄だ。

「……話そう。」

そう千里と同じ思考をした宗が、渋々といった感じで言った。

「出来れば言いたくなかったがな。」

「立場というものはそういうものだ。」

遥か上から見下されているような、感覚。
自分の立場の弱さに唇を噛む。

「……さて、"雪螢"といったか?」

なだめるような口調で桂が言い、千里は宗を確認する。

頷いたことを確認し、冷静になることを心掛け、刀を千里と桂の間においた。

「……妖刀"雪螢"。」

柄の部分は深い藍色で、刃の部分は微かに、繊細に雪の結晶が施されている。

「約400年前。絶滅寸前の雪女が自身の身と引き換えに作った妖刀。」

「成程、鉄を打つときの熱さと戦い、完成はしたものの彼女自身も命を絶えさせた、と。」

桂の見解に千里は頷く。

「もともと雪女がこの刀を作った理由は、愛しい人を殺した犯人を殺すため。しかし見つける前に自分の死期を悟った。だから何年も自分の心が残るように作ったとされている。故に……。」

千里はじろり、と桂を睨み付け

「この刀は主人の憎しみに共鳴し、契約を結ぶ。」

紅い唇を動かし、言った。

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