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儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第3章 情報の共有 【Ⅱ】 消えたぬくもり



土方side

アイツは俺の"望み"だった。

自分に出来ない想いをアイツと総悟に乗せていってほしかったから。

けれど境遇にも、少し被るところがあって。
心底アイツの気持ちがわかった。

守りたかった、正しい守り方で。
俺は義兄を守りたかった。

アイツは姉を守ろうとした。
前は守れなかったから。

正しい守り方で守ろうとした。









___________________また、盗み聞きか。
申し訳ない気持ちになりながらも、出ていくタイミングを失った土方は、千鶴と近藤の会話を聞いていた。

そして、土方同様、千鶴の言葉に驚く。

「あの子は貴方達が大好きで、付いていきたいと思っているのでしょう。けれど私と叔父様のために行かないといっているのでしょう。」

答えることができずに近藤が俯いているのが見える。

「私は千里に自由に生きてほしい。例え私と離れることになっても。」

一筋の涙が、千鶴の頬を伝う。

「私は守ってやれなかった。あの子の手を汚させて、その罪をおわせてしまった。」

たとえ母上と父上を殺した人だとしても、あんな小さい子に人を殺さしてしまった。
私が原因で、私が強くないばかりに。

「あの子を、守ってあげてください。

守られ、守る関係になってください。

私には……出来なかったから。」

細く、折れそうな真っ白な指を近藤の手にのせる。近藤は彼女の覚悟と、想いに圧倒され動けなかった。

「千里をよろしくお願いします。」

土方は唇をきゅっと結ぶ。
心の傷がちくりと痛んだ気がして、拳を固く握る。

土方は見ていなかったが、近藤は答えなかった。
ただ静かに頷いた。
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