第3章 情報の共有 【Ⅱ】 消えたぬくもり
近藤side
そう、あの日からだった。
あいつが総悟の想いを自覚した上で行動したのは。
___________でも。
近藤は沖田を切なさを帯びた瞳で見た。
沖田は後悔しているのか、珍しく弱々しく肩を縮めている。
___________もし。
総悟が少しでも素直になれていたら。
未来は変わっていただろうか。
__________________千里は訳がわからないという顔をし、首をかしげた。
「どうして?私が作っちゃだめ?」
「ん~……まぁ。」
曖昧な返答をすると、千里はほっぺを膨らませ、唇を尖らせる。
そしてふぅ、とため息をついた。
「まぁ……近藤さんがいうならそうなんだろうなぁ……。ネックレスじゃないのにしようかな。」
「それがいいんじゃないかな。」
「近藤さんの言うことは当たるからね。総ちゃんとの付き合いは近藤さんのが長いし。」
最近私より短い土方さんもよく知ってて悔しいけど。
肩を落とし、拗ねたような顔をする。
「やっぱり男になりたかったなぁ。」
え、と小さく返すと、いたずらっぽく千里は笑い、千里は自分自身の腕を触った。
「筋肉も付かないし、最近は総ちゃんに全く歯が立たなくなっちゃった。総ちゃんも最近意地悪だし。三人は内緒の話をするし……。」
心当たりのある近藤は申し訳なさで、冷や汗を流す。
「それに、男だったら姉上を守ってあげられる。」
真摯な瞳で訴えるように近藤の目を千里は捉える。
「姉上……持病はよくなってきたけど、今度は叔父様が体調を崩してる……。もし何かあったら……。」
近藤は彼女の両親がどうしていないのかは、未だ知らない。千鶴の姉上も、千里も語ろうとしないのだ。
ある意味深い理由があるのだろう。
まだまだ小さな女の子の肩には、不安と、そして家族を守りたいという志がある。
近藤はマメだらけの手を伸ばし、彼女の頭を撫でた。ゆっくり、柔らかく、愛しそうに。
「大丈夫だ。きっと。」
諭すようにして言えば、千里は近藤に感化させられるように柔らかく笑う。
「そうだね。近藤さんに言われると元気が出る。」
でも内緒話はなしだよっ!
千里は人差し指を出して、念を押すように言った。