第3章 情報の共有 【Ⅱ】 消えたぬくもり
近藤side
そこまで話終えてから、ふぅ、と近藤は息を吐く。
ここからは総悟の前で話すことじゃないか。
無骨な手を擦り合わせながら、すれ違ってしまった二人に対し苦い思いが浮かび上がる。
そう、近藤に千里がネックレスをプレゼントしたのはもうひとつ、大きな理由があったのだ。
___________________ネックレスを一度外したあと、近藤はかねてからの疑問を言う。
「千里どうしてこれを俺にくれたんだ?お礼だけじゃないだろう?」
その質問に肩を跳ねさせながら、バレたか、そんな風に千里は舌を出した。
まるで、いたずらがばれた子供のように。
とはいえ、近藤から見れば彼女はまだ子供だったが。
おずおずと、千里は慎重に言葉を選びながら、言葉を紡いだ。
「総ちゃん……のことなんだけど。」
やっぱり、そんな想いで近藤は心のなかで微笑む。暖かな想いと共に。
ミツバや土方並みに分かりやすい二人。想い合っているのは、土方でさえ知っていた。
「総悟がどうかしたか?」
「ほら……その、もうすぐ誕生日でしょう。いつもは皆でお祝いして、私も適当にプレゼントしてたんだけど……。」
顔を林檎のように赤く染めながら、必要以上に身ぶり手振りをつけながら、千里は続ける。
恥ずかしそうに微笑む瞳も恋する少女、そのもので。
「今年は…その。」
そこで言葉につまってしまう千里だったが、近藤は彼女の言葉を辛抱強く待った。
少しして千里は言葉を発する。
「あのね……ネックレスを、その。自分で作ったのをあげるのって重くないかな……?」
「だから俺にあげて様子を見ようと。」
躊躇った後、千里はこくんと首を縦にふる。
「そうだなぁ、少なくとも俺は嫌じゃなかった。」
「本当!?」
「ただ。」
近藤がそう言うと不安そうに肩をすぼめ、眉を下げ、弱々しく俯く。
そのあきらかに落ち込んだ姿に近藤は苦笑しつつ、
「そんな不安そうな顔をするな。ただ、総悟はつけないと思う、そう言いたいだけだ。」
「つけない……?やっぱりうざい?」
近藤は首を横にふる。じゃあなんで?そういう顔を千里はした。
「千里に貰うからだよ。」