• テキストサイズ

儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第3章 情報の共有 【Ⅱ】 消えたぬくもり



沖田side

「そんな出会いだったんですかィ…初耳でさァ。」

「まぁ、改めて言う機会もなかったからな。」

頭をかきながら朗らかに笑う。
昔を懐かしむように。

「で……次は総悟じゃなかったか?」

近藤が気遣うように言えば、沖田は目を伏せた後、近藤とは逆にハッキリとした事務的な口調で話し始めた。









_________________畑の帰り道、ミツバと楽しそうに話す聞いたことのない声が聞こえた。

声が女であることに弟としてホッとし、近くに女などいただろうかと不信に思う。

こっそり木の陰から覗くと髪の長い、ミツバと同じような笑い方をする女がいた。

まるで、ミツバが二人いるような錯覚を覚える。

……姉上が楽しそうに話してらァ。

その事に対して心が軽くなりながらも、ここは姿を表すべきか、表さないべきか。

一人で思案していると、

「そーご、君?」

「うぉぉっ!」

驚いてらしくない声を出して振り向くと、髪を肩の上で二つに結んだ女の子がいた。

困ったように、反省したように眉を下げながら。

「驚かして、ごめんね?……沖田、沖田総悟君?」

ミツバさんの弟だよね?

呆けながら口をポカンと開けていると、戸惑いながら少女は続ける。

「私、千里。三谷千里。あそこにミツバさんと話しているのは私の姉上。楽しそうだし、入っていけないから……。」

人差し指がを沖田を捉えた。

「私は、弟君を探す事にしたの。」

ふにゃり、という柔らかで朗らかな、花がほころぶような笑顔でこちらを見る。

本気でその顔に見とれる。

それが、はじまりで。

/ 273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp