第3章 情報の共有 【Ⅱ】 消えたぬくもり
沖田side
「そんな出会いだったんですかィ…初耳でさァ。」
「まぁ、改めて言う機会もなかったからな。」
頭をかきながら朗らかに笑う。
昔を懐かしむように。
「で……次は総悟じゃなかったか?」
近藤が気遣うように言えば、沖田は目を伏せた後、近藤とは逆にハッキリとした事務的な口調で話し始めた。
_________________畑の帰り道、ミツバと楽しそうに話す聞いたことのない声が聞こえた。
声が女であることに弟としてホッとし、近くに女などいただろうかと不信に思う。
こっそり木の陰から覗くと髪の長い、ミツバと同じような笑い方をする女がいた。
まるで、ミツバが二人いるような錯覚を覚える。
……姉上が楽しそうに話してらァ。
その事に対して心が軽くなりながらも、ここは姿を表すべきか、表さないべきか。
一人で思案していると、
「そーご、君?」
「うぉぉっ!」
驚いてらしくない声を出して振り向くと、髪を肩の上で二つに結んだ女の子がいた。
困ったように、反省したように眉を下げながら。
「驚かして、ごめんね?……沖田、沖田総悟君?」
ミツバさんの弟だよね?
呆けながら口をポカンと開けていると、戸惑いながら少女は続ける。
「私、千里。三谷千里。あそこにミツバさんと話しているのは私の姉上。楽しそうだし、入っていけないから……。」
人差し指がを沖田を捉えた。
「私は、弟君を探す事にしたの。」
ふにゃり、という柔らかで朗らかな、花がほころぶような笑顔でこちらを見る。
本気でその顔に見とれる。
それが、はじまりで。