第3章 情報の共有 【Ⅱ】 消えたぬくもり
近藤side
銀時が話し終えた後、近藤は銀時の盃に酒を酌んだ。
銀時はそれを一杯飲んだ後、近藤を中心とした三人に目を向け、
「次はお前らの番だ。」
挑戦的にそういった。
近藤は土方と沖田を一瞥したあと、ポツリポツリと出会いを話していった。
_______________晴れた日の、出来事だった。
「こんにちはー!」
可愛らしい女の子の声が外から響いた。
稽古中にかけられた声に少し驚くものの、顔をそちらに向ける。
見ると、短い髪を肩の上で二つに結んだ女の子と、長い黒髪をひとつにサイドで纏めた女の子がいた。
「こっちみた!姉上!こっちみたよ!」
小さな女の子の方が手を胸の前に当ててはしゃぐと、大人びた女の子の方は微笑む。
「あの…どちらさま。」
「あぁすみません。私達、隣の家に叔父様とこしてきました。私は三谷千鶴。こっちは…」
「千里!初めまして!」
花のように。
太陽のように。
笑って見せた彼女は草履をその場に脱ぎ捨て、近藤のもとにやってくる。
「よろしくね!」
小さな頭を下げて、またにっこり笑う。
「お兄さんは?」
「え、あぁ。」
面食らって黙っていると、少女は大きな瞳を目一杯開けて首を傾げてくる。
近藤はなんとも言えない緊張を感じながら
「……近藤、近藤勲。」
自分の名を紡いだ。
こんどうさん、ね。と確認するように少女は繰り返し、小さな右手を差し出す。
「近藤さんよろしくね!」
これが、少女三谷千里と近藤勲の出会いだった。