第3章 情報の共有 【Ⅱ】 消えたぬくもり
沖田side
総ちゃん!
幼い頃太陽みたいな笑顔を俺に向けてくれた千里。
いつからだっただろう。
好きだと思ったのは。
いつからだっただろう。
もっと近くにいてほしいと思ったのは。
いや、もう気がついたときには使命のように守るって決めてた。
姉上とは違う感覚で。
それでいて暖かくて。
近藤さんや姉上が土方のクソヤローに目をかけるようになったときも、アイツは笑って総ちゃんの思い込みだよ、といってくれた。
「総ちゃんの良さはみんな知ってる。だから総ちゃんが困ったときは助けてくれる人はいっぱいだよ!」
そう言ってまた笑って。
「少なくともここにひとり。」
小さな掌を握りしめ、トンと胸を当てた。
その姿に何度助けられてきただろう。
女も強くならなきゃいけない、そう言ってアイツは一緒に剣の稽古を積んできた。
仲間だった。
初恋だったかもしれない。
_____________けれど。
アイツは俺たちが江戸に行くと知ったとき、泣いたんだ。
アイツには千鶴の姉上がいたし、仕方ないことだと分かっていた。
アイツの過去も関係していたから尚更。
けど、俺はその時はどうしようもなく悲しくて。
土方や姉上の事にも苛ついていて。
千里は俺と離れてて大丈夫なんですかィ?
皮肉を込めて言えばとても悲しそうな顔をしつつも、アイツは否定はしなかった。
付いてきて欲しかった。
無理だとは心の底で理解していた。
それでもどうしても心の整理がつかなくて。
結局、その日を最後にもう会わなかった。
心の奥底に閉じ込めて、見て見ぬフリをし続けたんだ。