第15章 偽りの愛
銀時side
もう言葉にならないのか女たちのすすり泣きがその場を支配した。小さな肩が揺れるたびに銀時の心は鎖で縛り付けられていくかのように軋んでいく。
「……ひとつ、いいか。」
銀時はそれでも彼女たちに問わなければいけないことがあった。
女たちがひとつ、縦に頷いた事を確認し、問いをぶつける。
「お前たちは何故今ここにいる?」
銀時の確認すべき事、それは春雨の遊郭"夕時雨"が何故つぶれたのか。
何故彼女たちは支配という名の鎖から解き放たれたのか。
「……野菊が消えてから二年後の事です……。」
言うか言わぬべきか躊躇った後、彼女たちはまた語り出す。
「先程野菊とは会わなかったと私は言いました……。その通りです私達は会いはしなかった。けれど私たちが呪縛から解かれた時……彼女は恐らくいたんです。」
「……意味がわからん。」
その言葉を聞いて淡く彼女は微笑み、肩をすくめる。
銀時はそんな彼女から視線をはずすことをせずにしっかりと見つめた。
「そうですね……やっぱりこれは順を追って話しましょう。」
もう一つの血塗られた過去。
それは宗と千里の出会いの物語。
銀時、神楽、新八はその出会いの一端を、第三者から聞くことになる。