第13章 傷と罰
宗side
「名前、出身地、性別の確認。それと……貴方の性格と趣味……容姿。かしら。」
「それだけか。」
宗が瞳を細くして疑るような視線を向ければ、梔子は今までにない笑顔で「えぇ。」と言った。
少しの間、沈黙が流れる。
梔子の指先は何かを辿るように着物の上を滑っており、宗はそんな梔子を格付けするように上から下までじっ、と見つめた。
「屑にもほどかある。」
_____突然宗は言葉を放った。
その瞳は深淵のように暗く、軽蔑や侮蔑、ありったけの負の感情を盛り合わせたもので。
梔子の表情が崩れる。
「そ、宗。」
そして宗は馬鹿馬鹿しくなり、可笑しそうに笑った。その瞳は狂喜に満ち溢れ、梔子は無意識に後ずさる。
しかし宗は珍しく自分から梔子に近づいた。
ざり、ざり、と古くさい畳から発せられる不気味な音が梔子の背中を震え上がらせる。
壁際に追い詰められた梔子は彼の手が自分の首にかかるのをスローモーションのように感じていた。
宗の端正な指が一本一本梔子のか細い首に締め付けられ、梔子の瞳には病的な炎がゆらりと生まれる。
月明かりが微かに溢れ落ち、二人を闇へと誘う。
「か、はっ……!」
梔子はそこで自分の首が締め付けられていることに気がついた。
苦しくて唇の端から唾液が伝うが、それを宗がペロリと舐めたのにまた興奮して。
「言え梔子よ、この"ミオウ"に似ている俺に。」
アイツに会いたいのだろう?
そう付け加えて。
梔子は苦しそうに顔を歪めたあと、とろんとした表情になり_______
彼の手に堕ちた。