第13章 傷と罰
銀時side
「そういえば銀ちゃん最近臭いネ。独特の臭みアル。」
「神楽ちゅわぁん!!?それマジ!?マジなの!?俺まだまだ若いよ!大丈夫だよね!お得意の嘘だよね!?」
「いつも暮らしてるから慣れてきたけど、言われてみれば連載当初よりは臭みが増したネ。」
「く、臭み……!!!!」
ちょ、ちょっと待てよ。
俺そんなに年取ってるっけ。
サザエさん方式で年を取らないはずなのに。
「白夜叉様、いくつなの?」
ふと、思い出したように銀時に問う千里。その瞳にはこの前のような邪心はなく、ただただ遊びに来た友達だ。
「うるせぇな、言うと虚しくなるからやめる。」
「じゃあ結構年くってるの?いくつくらい違うんだろ。天然パーマすごいからハゲてはなだろうし。片腕抜きとかいう中二病的なことしてるし。流行りとかに乗らない万年同じ服らしいから年齢不祥すぎるし。」
「悪口はよそでやってくれないかな……。」
肩を落として項垂れる銀時。
そんな銀時を見てコロコロ笑う神楽と千里。
やれやれ、楽しそうだこと。
よくわからないが自分のいない間に仲良くなったのは事実なことが理解できた。
無垢な笑顔に裏はない。
「で、停戦協定ですか?和解ですか?」
「言っておくけど白夜叉様とは和解してないから。面白い人だなとは思ってるけど。」
「私と千里は和解したネ。ま、納得いかないこともあるけどナ。」
「まぁその場の関係で十分だし、敵同士になる瞬間も出てくるだろうしね。」
その時は容赦しないよ。
ふっ、と不敵な笑みを浮かべる千里。
瞳の奥に写る真っ直ぐな闘争心にこの前とは違う殺気を肌で感じる。
綺麗な殺気、とでも形容すればいいだろうか。
「つか、お前何しに来たんだ。」
もともとの素朴な疑問を投げ掛ける。
するときょとん、と彼女は呆けた。
そして「あぁ。」と小さく言葉をこぼし、続ける。
「ちょっと、ね。」
淡く微笑む千里。
その一言で表情が和らぐ神楽。
その二人の様子を見て、銀時は察した。
沖田か。
銀時の心にも暖かな思いが満ちる。
切なかっただけの二人に少しだけ_____。
沖田本人は知るよしもないが。
窓からはいる風が、差し込む光が調和する。優しい女神のしらべのように。