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儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第12章 地球の友達



銀時side

銀時は昨日の今日で、ある場所を訪れていた。
そこは真選組屯所。
木でできた立派な門がいつもと変わらず銀時を迎える。

一つだけ違うのは静けさに包まれているということ。いつもなら稽古をしている連中がゴロゴロいるはずなのだが、どうやら全員出払っている様子だ。

まァ、アイツはいるだろう。

そう思い、銀時は構うことなくある場所を目指して足を進めた。






「うぃっす、大串くん元気?」

目の前の障子をわざとらしく音をたてて銀時は開ける。すぐに目に入ってきたのは積み重ねられた書類。そしてすこし奥に視線を写せば、目的の人物がいた。

「煙草臭ェな。」

苦言を吐けば、その言葉は届いたのか、彼は大きくため息をつく。

「お前と違って暇じゃねェんだ。」

この通りな。

眉を寄せて疲労困憊な様子を見せながらも、土方は書類を見ることをやめない。
千里についての調査書なのだろう。

その中の一枚をぺらりと指でとり、記入名を覗けば、山崎退の文字が刻まれていた。

「なになに……雨宮宗のよく行く店……。」

「おいこら、勝手に見るな。」

咎める口調と共に、銀時の手元にあった書類が引っこ抜かれる。行き場の無くした手を瞬時に引っ込めつつ、ニヒルな笑みを浮かべて銀時は土方を見つめた。

あちらの表情が固くなる。
眉を寄せ、吟味しているような顔。

「録でもないこと考えてるんだろ。」

チッ、と舌打ちを大きくする土方。

「録でもないかはテメェが決めろ。……一つだけ教えてほしいことがある。」

なんだ、と土方は煙草をひとつ取り出しながら言葉を返す。いつもならこんな近くで吸うなと嫌みの一つぐらい言うのだが、今回は言う気にならなった。

それよりも、こちらが優先だと考えたのだ。
少しだけ銀時は躊躇った後、言葉を紡いだ。


「春雨"夕時雨"。」


びくり、と土方のもつライターが震えた。
そして鋭い視線で銀時を睨む。
その視線は銀時への疑念と、興味と、色々なものが織り混ざっていた。

「……たまたま聞いたんだよ。テメェらほどじゃねぇが、情報屋の一人や二人いるんだ。」

「……。」

「でもそっからは全く分からねぇ。"夕時雨"がどんな場所かはテメェ等から前もらった資料から推察できるが、その後どうなったか……今ならお前ら分かるんじゃねぇのか。」

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