• テキストサイズ

儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第1章 出逢い再び



沖田side

ゴホゴホと何回か咳き込んでから、扉の方に向かう。

まだ煙幕は残っているが、構わずに扉の方に足を進めた。

既に異常に気がついていた銀時の声が微かに聞こえる。

くそっ……なんで気がつかなかった!
いつもなら。いつもなら気がつける簡単なことだったのに!

歯を食い縛り、違う、と呟いた。

千里を信じたい。
そう、私情を交えたからだ。

その点千里は完全に心に折り合いをつけ、躊躇いなく攻撃してきた。

目的だけを果たして。

あの妖刀と言われたものはもうそばにはいない。煙幕が上がった瞬間、すぐに千里のもとに吸い込まれるようにして消えていった。

「近藤さん!」

やっとのことで煙から抜けると崩れ落ちている近藤と、そばにつく万事屋一向。そしてそよ姫と15名ほどの隊員たちがいた。

「救急車は呼んだんですかィ?!」

叫ぶようにして問いかけると、銀時は何とも言えない表情で沖田を見上げ、右手で近藤の頬をぶったたく。

「なにしてんですかィ?!」

驚きと怒りが混ざり、訳が分からないまま言葉にすると、あきれた表情を向けられた。

「よくみろ。」

「まったくし心配して損したアル~。」

そよ姫も苦笑いだ。

すると、ひょいっと近藤が起き上がった。
よく見るとそんなに血も出ていない。
滲む、そんな表現が一番適切だ。

「なんだよー。少し演技してたのに。ばらしちゃつまんないだろ。」

いつもの顔で笑う近藤を見て、長く息をはく。

よかった……。

そんなこと言葉にしないけれど。

しかし、安心した後に訪れたのは苛立ちで。

少し遅れて土方が現れる。

「近藤さ」

「死ね土方ァァァッッ!!!!」

それをすべて土方に向け、報告書が増えたことはまた別の話。


/ 273ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp