第1章 出逢い再び
沖田side
ゴホゴホと何回か咳き込んでから、扉の方に向かう。
まだ煙幕は残っているが、構わずに扉の方に足を進めた。
既に異常に気がついていた銀時の声が微かに聞こえる。
くそっ……なんで気がつかなかった!
いつもなら。いつもなら気がつける簡単なことだったのに!
歯を食い縛り、違う、と呟いた。
千里を信じたい。
そう、私情を交えたからだ。
その点千里は完全に心に折り合いをつけ、躊躇いなく攻撃してきた。
目的だけを果たして。
あの妖刀と言われたものはもうそばにはいない。煙幕が上がった瞬間、すぐに千里のもとに吸い込まれるようにして消えていった。
「近藤さん!」
やっとのことで煙から抜けると崩れ落ちている近藤と、そばにつく万事屋一向。そしてそよ姫と15名ほどの隊員たちがいた。
「救急車は呼んだんですかィ?!」
叫ぶようにして問いかけると、銀時は何とも言えない表情で沖田を見上げ、右手で近藤の頬をぶったたく。
「なにしてんですかィ?!」
驚きと怒りが混ざり、訳が分からないまま言葉にすると、あきれた表情を向けられた。
「よくみろ。」
「まったくし心配して損したアル~。」
そよ姫も苦笑いだ。
すると、ひょいっと近藤が起き上がった。
よく見るとそんなに血も出ていない。
滲む、そんな表現が一番適切だ。
「なんだよー。少し演技してたのに。ばらしちゃつまんないだろ。」
いつもの顔で笑う近藤を見て、長く息をはく。
よかった……。
そんなこと言葉にしないけれど。
しかし、安心した後に訪れたのは苛立ちで。
少し遅れて土方が現れる。
「近藤さ」
「死ね土方ァァァッッ!!!!」
それをすべて土方に向け、報告書が増えたことはまた別の話。