第1章 出逢い再び
沖田side
何が悪いの。
その言葉に悲痛さが滲んでいるのを肌で感じる。
「何があったんですかィ……!?」
そう問うと千里は土方から弾くようにして離れる。
後ろの壁を蹴りあげながら誰もいない中央へと着地した。
そして前にかかった髪を払わずに刀を握りしめながら呟くようにして言葉を紡ぐ。
「何も、なかった。」
先程とは打って変わった涙をこらえた声。
「親が攘夷浪士に殺されてから10年っ……!ずっと!ずっとずっと!攘夷浪士たちが破滅するのを願ってた!」
「じゃあ何」
「ずっとそれが間違いだったからよ!」
沖田の言葉を遮るようにして怒りの火花を散らせながら千里は開かれた扉の方に顔を向け、言葉を放った。
そこには近藤がいて。
「殺してほしかった!攘夷浪士を殲滅してほしかった!平和な世の中を作ってほしかった!」
でもっ……!また刀を構え直し、叫ぶ。
「全部全部嘘だった!」
``嘘``
その言葉の刺が彼女を知っているすべての人の心に突き刺さる。
「てめぇの親は攘夷浪士に殺されたんだろ!」
「そうだと思ってたよ!」
「どういうことだよ!」
「親を殺したのは攘夷浪士じゃなかった!……っ幕府の手下だったのよっっ!!!」
ぎらぎらと瞳を憎しみで一杯にさせながら、弱さを見せまいと足で踏ん張って立っている。
しかし沖田たちはそこに気遣うこともできないくらい驚いていた。
「てめぇの親を殺したのは……千里の親を殺したのは……攘夷浪士じゃなかった……?」
「そうだよ!それにっ……!」
そこまで言った後、ハッとしたように口をつぐんだ。
「いいえ。もう話すことはない。」
そうして銀時の元に走っていく。