第1章 出逢い再び
千里side
よかったよ。深読みしてくれて。
そう思いながら千里は沖田に突進していく。華奢な体躯からは考えられない跳躍力で勢いをつけ、刀を降り下ろす。
沖田も構えていた刀で受け止め、甲高い音をたてる。
「っく……!千里!」
動揺を捩じ込みながらなんとか名を呼ぶと、千里は見下すように笑った。
「動揺してるの?そういう感情は消した方がいい。」
千里はそう冷たく言い放ち、足を振り上げるが、沖田はとまどいを見せながらも横に転がり避ける。
しかし、千里は体制がバラバラな沖田に対し冷たい目を向け、標的を変えた。
「土方ァ!!!」
沖田が大きな声を出すのと同時に千里と土方の刀がすれ違う。
それぞれが敵の刃を避けるようにして体制をそらし勢いをつけてまた斬りかかる。
昔は仲間だった。
だから分かる動き。
ぐぐぐ、と刃と刃とが擦れあい力との勝負になる。
「千里!なんでこんなことを!」
千里は肩を跳ねさせ、鋭い瞳を土方に向けた。
「こんなこと?」
自分でも驚くほど低く冷淡な声が出た。
沸沸と込み上げてくるのは。
怒りだけだった。
「この世を変える!人殺しを掃除する!」
歯を食い縛る。
呻くようにして確かな本音をこぼした。
「それの何が悪いの!」