第1章 出逢い再び
沖田side
勢いよく土方の手が下ろされた。
それを合図に最初の潜入、約15名が突入に近い勢いで中にはいる。
沖田たち万事屋一行は上で除き見ている状況だ。
そこで土方、沖田は異変に気がつく。
埃が舞った形跡があるにも関わらず、人の気配がしないのだ。
_________いない。
_________どこだ。
ハッ、と沖田は気がつき声をあげた。
窓からも、扉からも死角に入っている天井に相手がいることをよんだからだ。
「土方さん!上だ!」
その声に反応するように土方は上に刀を構える。
しかし、間に合わなかった奴が五名。
ドゴォォォンッッ!!!
響く爆発音のような音と吹き込める風。
床のホコリが舞い上がり、仲間の視界を奪う。長い間廃墟となっていたせいか、粉塵が収まる様子はない。
「おい!突入だ!」
銀時の声が響き、沖田は大きく舌打ちをした。
「ちっ……!」
交渉する気はないのか。
沖田はためらうことなく刀で窓を割り、中に入っていく。
銀時の指示からか新八や神楽は入っては来ない。
その間にも仲間はひとりひとり倒れていく。
敵の姿は見えず、足音だけで判断しなくてはならない。
相手は自分達と違って仲間はいないから、迷いがないのだろう。斬っていく。
結局沖田が下に飛び降りたときに既に約半数が地に伏せていた。
積み重なるようにして倒れている。
相手に対して憤りながら目を凝らせば、ゆっくりと視線が開けていく。
ホコリも少しずつ薄れていく。
そこで、沖田と土方は息をのんだ。
目を見開き、自分の目の前に風景を疑う。
おい、なんでそこに。
お前が何でそこに。
「久しぶりだね。」
長い黒髪。大きな黒い瞳。華奢な体躯。
その鈴を転がしたような声も。
「なんで……お前が。」
土方が途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
すると、彼女は自嘲気味に微笑んだ。
「なんでだろうね?」
伏せた目から見える悲しみの火花。
その姿にぞくりとしたものが背筋にはい、手足は冷たく、痺れていく。
「……千里……?」
沖田は無意識に彼女の名を呼んでいた。
返事をしてほしくない、そうとも思っていたのに。
けれど彼女は沖田の思惑を知ることなく静かに答えた。
「そうだよ総悟。」
あのときのあどけない表情は消え、艶やかに凍てつく瞳を沖田に向けた。