第7章 廻り始めた歯車
千里side
「お前たちは以前同盟だから立場は同じであると言ったな?その通りだ。同盟に上も下も本来存在しない、してはならない。そしてギブアンドテイクの関係でもある、異論はないな?」
宗は静かに頷いた。
桂の本心を見分けようとする目をしていたが。
それに反して桂は獣のようでありながら、落ち着き払った様子で語り続ける。
「今回お前たちの計画が成功したときに此方に報酬がほしい。お前たち二人でもやれるだろう。けれどそれでは俺たちの望みは叶うか?情報収集は此方のが上、武器の調達も此方のが上。」
桂は冷徹な、研がれた刃のような瞳をし、
「君たちに人を殺すこと以外に使い道があるとでも?」
しんと空気がはりつめる。
殺伐とした、緊張感に満ちた各々の気持ちが背筋を震わすような凍てつく冷気のよう。
「正論ね。」
少しして千里はこの空気を裂いた。
内容に少し驚いた宗が目を見開くが、すぐにいつもの顔に戻る。
千里は桂を見据えながら言葉を紡いだ。
「つまりこういうことでしょ?私たちに手を貸すから、次は俺たちに手を貸してくれ。違う?」
千里は目の前に刀をかざし、妖しく微笑む。修羅の道を選んだ、強者の瞳。
皮肉に満ちた、バカにするようなニュアンスが含まれるこの言葉に反論するものはおらず、それどころか一種の高揚感を皆覚える。
やってのける、そんな感覚。
千里の厳しい瞳が容赦なく桂を貫き、また感嘆させる。
「その通りだ、頼むぞ現代の雪女殿。」
まだ信頼とは呼ぶに足らない関係。
それでもまた、ここに同盟と言うものが確立し、認め合い始めた瞬間でもあった。
「望むところよ、狂乱の貴公子様。」