第7章 廻り始めた歯車
千里side
気を引きしめて、桂の次の言葉を宗と共に待つ。桂は目の前に地図を広げた。
「これっ……!」
「赤根崎家の屋敷の地図だ。雇い人を間違えたな、金を積めばすぐに吐いた。」
にやりと桂は笑う。おそらく、金を積んだだけではないのだろうが、聞くことは野暮なのでしない。
「さて、今月の三週目の土曜日に当主善次郎による茶会が開かれる。」
瞳をキラリと鋭利に閃かせ、言葉を続ける。
「しかし茶会とは名ばかりの"人身売買"の契約を結ぶ場となっているようだ。」
__________契約。
売られる人間をオークションでもするのだろうか。値段をきめるのだろうか。
「死ねばいいのに。」
吐き捨てるように舌打ちをする。
宗も胸糞悪いと呟き、目を細め睨む。
人を売って何が楽しいんだ。
人で金儲けをして何が楽しいんだ。
それで壊れた人生は元に戻らない事ぐらい用意に想像できるだろうに。
「それより前に叩こう。」
宗は迷いなく、言い切った。
本来であれば茶会途中に襲うのだろうが、そんなのはさせない。
そういう計画さえ、崩しきる。
桂は何となく予想していたのか、何も言わない。その代わりに四角い白い箱の中から小さいコマを取り出した。
「何それ?」
千里が聞けば、桂はコマを15個取りだし、地図の上に並べていく。
「これは部下の人数だ。」
「は?」
千里が眉を片方あげ怪訝そうな顔をすると、桂は逆に不敵に微笑む。
そして更に赤いコマをひとつ、青いコマをひとつ、緑のコマをひとつとりだした。
「赤は俺、青は宗、緑は千里を表している。」
「なるほど、今回の作戦に桂も参加すると?」
明らかに嫌そうにこ言葉を発する宗の視線は桂を捕まえている。
自分達でやりたい、横槍をいれるなと言う雰囲気を醸し出したまま。
しかし桂はその視線を受け止めつつ、返す。
「悪いな宗、信用していないわけではない。むしろ、君たちに死なれては困るんだ。」
「……どう言うことだ。」
「分かりやすく言おう。君たちのような戦力をなくす可能性は限りなくゼロにしたい。」
ぴくりと宗は肩を揺らし、耳を傾けた。
その姿に桂は満足したのか、言葉を続ける。