第7章 文化祭scramble！！

研磨さんの幼なじみと言う女の子の可愛さは驚きのあまり見惚れてしまった。
突如として現れた黒髪の男。
暫くして現れた緑髪の男。
緑髪の男の手に握られている物が気になって仕方がない。
俺の視線に気付いたソイツは少し顔を顰めた。
「何なのだよ。」
語尾がちょっと気になるけど。
俺と同じ位背は高いのにかなり細く見えるし。
左指はテーピングされてるし。
だいたい、大切そうに抱えてるソレ自体が「何なのだよ。」だ。
「ソレなんですか？」
俺と同じ様な緑色の瞳が揺れている。
「おは朝のラッキーアイテムだ。」
そういう事じゃなくて、ソレの名前が知りたかったのに。
多分合ってるけど…少し自信がない。
「ブッフォォ！真ちゃんソレ！だから言ってるじゃん？他の奴らには分かんねぇって！」
隣にいる高尾と名乗った男が腹を抱えて笑い出した事に、緑髪の男は不機嫌そうな顔をした。
「ソレ！マトリョーシカでしょ！」
不機嫌そうな顔は崩される事なく、今度は俺にその視線を移した。
「…そうだが？」
「俺！ロシア人のハーフっす！ロシア語話せないけど！」
何だかロシアの物をみて嬉しくなって、勝手に親近感を持った俺は自己紹介を始めた。
「俺、灰羽リエーフ！！そっちは？」
「みっ…緑間真太郎だ。」
名前を聞いただけなのに少しだけ顔を赤くしたソイツはちょっと可愛い。
「シンタロー！！」
俺がそう呼ぶとなぜかシンタローは隣の高尾をチラッと見た。
シンタローに話し掛けているといつの間にか人数が増えてる。
蜂蜜色の髪の色の甘そうな人。
夜久サンと笑い合っているところを見ると悪い人じゃなさそうで、俺はとりあえず自己紹介をした。
「俺、灰羽リエーフ！！」
自己紹介しただけなのに、夜久サンに怒られる。
「夜久サンチョー怖い。」
俺がボソッと呟くと高尾が同調する様に話してきた。
「一見優しそうな先輩が実は怖かったりすんのな…あのイケメンさんも部内一怖い先輩。」
「夜久サン直ぐ蹴るんだよな…」
「マジ？！ブッフォォ！それってシャララと同じ扱いじゃん！」
高尾はケラケラ笑いだした。
「シャララ？」
「神奈川の高校に通う黄色い奴なのだよ。」
シンタローがメガネをズイっと上げた。
「ソイツって強いの？」
シンタローは横目で俺を試す様な視線を向けた。
「お前よりは、強いだろうな。」
その言葉に俺は“黄色い奴”ってのに会いたくなった。