• テキストサイズ

【SS合同企画作品】冬が来るその前に

第7章 文化祭scramble!!


(あーもう!マジキツいですけど…)
そんな悪態を吐きながらオレは部内の怖いイケメン先輩の命を受けてチャン大捜索中。
秀徳の文化祭は他校に比べてそんなに派手じゃない。
それでも、一般人も来校するとあってそれなりの賑わいを見せている。
所々に出来る群がりを上手く避けて正門付近にお目当ての背中を見つけた。
「私が案内するから!迷子になったりしないでね?」
見た事ないヤツと手を繋いでいるチャン。
イヤでもその手に注視してしまう。
「チャン!」
突然響いたオレの声に少しだけ驚きの表情を見せた。
「高尾君、どうしたの?」
「宮地サンが連れて来いって。」
オレは宮地サンに心の中で謝罪した。
宮地サンに「連れて来い」なんて事は一言も言われてない。
オレの登場にプリン頭の男が遠慮がちでありながら、警戒する様な視線を向けてくる。
音駒…だっけ?うろ憶えな学校名を記憶の底から引っ張り出す。
「チャン?」
黒髪のトサカ頭がチャンの名前を呼んだ。
(馴れ馴れしいヤツ…)
挑発上手。多分わざと“チャン”と呼んだ。
ソイツの声に弾かれる様にしてオレの紹介を始めたチャン。
この状況下でしっかりと繋がれた手がイラつく。
「バスケ部の高尾和成君。私と同じ1年生。」
「どうも。高尾チャンでっす!」
いつもの調子で取り敢えずの挨拶。
後は相手がどう出るかを様子見てみる。
すると、トサカ頭が瞳の奥に光を蓄えてゆっくりと微笑んだ。
「コレは孤爪研磨。俺は黒尾鉄朗。」
「俺は夜久衛輔。」
「灰羽リエーフ!」
「学校は?」って突っ込もうかとしていた時、間髪入れずにトサカ頭がその答えを口にした。
「俺達は音駒高校バレー部です。」
この余裕がある感じが癪に触る。
すると今度はオレの背後から聞き慣れた声が響いた。
「お前達は何をしているのだよ。」
ウチのエース様の登場に、オレはワクワクしてきた。
「真ちゃん。他校の生徒さんと親睦深めてたってやつ。」
振り返ってウインクをして見せると、色恋に疎いはずのエース様は何かを察したように眼鏡のブリッジを上げた。
「、部活日誌を宮地さんが探しているのだよ。」
自分と然程変わらない身長の真ちゃんに注視するヤツが1人。
猫嫌いの真ちゃんどうするかな…なんて。
/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp