第4章 エフラファ
「サーシャさん?」
夜、裏庭に抜け出してきたアリス。
「ここだよ。」
サーシャは手招きする。
「さぁ行こうか。」
サーシャに連れられ歩くアリス。
「南の塔ってどこにあるの?」
「内緒。」
サーシャは黙々と歩く。
そして何かが見えてきた。
「ここ?塔なんてどこにもないよ?」
サーシャは黙ってある遺跡を指差す。
「それはね昔大きな塔だったと言われているんだ。だが老朽化が進み100年前に崩れたらしい。」
アリスは塔に近づく。
するとまたあの声がした。
__来たか__
「また声がする。」
「確かに鈴の音のような音は聞こえるが声など聞こえない。」
違う。
耳で聞いているんじゃない。
心で聴いているんだ。
「サーシャさん私行ってみます。」
そう言って塔の隙間から中に入る。
サーシャも続いて入る。
中は狭くもなく広くもなかった。
だがアリスにまた声が聴こえた。
__蒼き光を辿れ__
「蒼い光・・・?」
すると青白い光がある方向から見えた。
「サーシャさんこっちみたい。」
その光に向かって歩く。
そしてさっきよりも開けた場所に出てきた。
そこには・・・
「フェンリル!!」
サーシャがとっさに刀を出す。
__この者に敵意はないと伝えろ__
「また鈴の音が・・・王女様何と言っているんだ?」
「敵意はないそうです。」
「そうか・・・。フェンリルが・・・まさか実在するとは思ってもいなかった。」
するとフェンリルから光の玉が現れサーシャへと向かう。
次の瞬間サーシャは倒れてしまった。
「サーシャさん!?」
__安心しろ、少し眠っててもらうだけだ__
「そう・・・。それであなたは一体何ですか?」
__俺の名はフェンリルのロアム__
「ロアム・・・。」
__お前は・・・お前の前世に俺と一緒だった。お前は聖獣使いだ__
「私が?」
__このヴァーラヴェイティがお前が生まれてから輝きを取り戻した__
「ヴァーラヴェイティって何?」
__この剣だ__
そう言って尻尾で地面に突き刺さった剣を示す。
__抜いてみろ__
「無理よ。あんなに深く刺さっているじゃない。」
__聖獣使いならできる__