第57章 【番外編】フレグランス
「涼太、りょ……た、ぁん、ン」
「その声ヤバ、っ……ちょ、悪いけど一回、イかせて」
グンと勢いを増す屹立が、言葉通りの絶頂を迎えようと、まだ痙攣する粘膜を擦りあげる。
「あ、ひゃ……激し、んぁ、あ、あ……っ」
速度を上げる抽迭が結合部分を泡立たせ、淫らな音を奏でながら聴覚を麻痺させていく。
「や、ぁ、っ……私、も……また」
「いいっスよ、ハッ……何度でもイカせて、やるから」
イク時の顔、オレに見せて
閉じた瞼に落ちるささやきにそっと目を開ければ、そこには金の瞳を輝かせて唇を舐める、獰猛で美しい私だけの──
「ひ、ゃっん」
顔の輪郭を縁取るように滑る汗が、顎の先からぽたりと落ちるだけで、身体の奥が歓喜で震える。
「うわ、今きゅっと締まって……オレ、今日は優しく抱こうって思ってたのに、腰、止まんねぇ……つか」
指輪の存在を確かめるように絡まる指が、シーツに深く沈みこむ。
「ちょっと──いや、すげぇ激しくシちゃう、かも」
「や……待って、またイっちゃ……うから、りょ……ぅんンっ」
掠れる嬌声が、律動をはじめた黄瀬の耳に届いたのかは分からない。
濃厚な愛撫に支配されながら激しく揺さぶられて、まだ新しいはずのベッドがギシギシと悲鳴をあげる。
荒波にもまれるように、突き上げられては揺らされて。
それはまるで季節はずれの嵐のように、結だけを何度も高みへと押し上げた。
深く身体を折り曲げられて、最奥の扉をノックする鋭い切っ先に、白い足が湿った空気をかき回す。
「りょ、涼太……好き、ん……あぁっ!」
「ん、オレもスキ……結、も、イク……ッ」
汗ばむ肌からほんのりと香るふたつのフレグランスが、シーツの上で溶けて混じり合う。
身体の奥でほとばしる激情を受け止めながら、まだ物足りなさげに揺れる腰に、結は浅い息の下で途切れ途切れの声をあげた。
「ま、って……お願、い、少し、休ませ……て」
「ん?だいじょーぶ。今度はゆっくり、結の好きなとこたくさん、突いてあげる……から」
「ちが……ぅ、あ、りょ、涼太……っ」
甘美な夜は、まだ終わらない。
結は愛しい名を何度も呼びながら、おだやかに打ち寄せる波に身をまかせた。