第42章 ファウル
手のひらでドクドクと脈打つ昂りに、結は恐る恐る口をつけた。
抵抗があるのではなく、こういった行為そのものに自信がなかったのだ。
ただ今は、手の中で熱を持つ鼓動が愛しくてたまらない。
(どうしたらいいかなんて、よく分かんないけど……)
下から上に、浮き上がる筋をたどるように唇を這わせると、「ハ……ッ、それヤバ」とシャワーの水音に紛れて耳に届く声に背中を押され、ヌルリと滑る先端をそっと口に含んだ。
「う、っ」
小さく漏れる声が嬉しくて頬があがる。
口に広がる苦い味も、彼のものだと思えば何の苦でもなかった。
「苦しかったら、やめても……いい、から」
「ん、ふ……らいじょ、ふ」
比較のしようはないが、口を埋め尽くすその大きさに息苦しさを覚えながらも、歯を立てないように吸い上げる。
「ン……っ、スゲェ……そんな、されたら」
懸命に舌を絡めると、頭に置かれた大きな手が、もどかしげに髪を掻き乱していく。
もっと、と先を催促するように揺れる腰につられて、身体の奥に否応なく灯る熱。
気持ちよくなって欲しい、彼が欲しいという思いが溢れだして止まらない。
「ンん……っ、ふ」
「結……ッ」
水分を含んだ黄瀬の水着を握りしめ、口内で暴れだす欲に、結は夢中で愛撫を繰り返した。