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【黒バス】今夜もアイシテル

第33章 サイン



*****



ハッキリ言って、オレの寝起きは悪い。

痺れを切らした母親に布団を剥がされても、枕にしがみついて無言の抵抗。

『若者は朝が弱いんスよ!分かんないっしょ!』と彼女の逆鱗に触れた言葉は、二度と口にするつもりはなかった。







ピピピ──

唐突に朝を告げる電子音を一撃で黙らせる。

梅雨に入り、週間予報はほとんどが傘マーク。

朝だというのに薄暗い部屋と窓をうつ雨音が、今日の天気予報が的中したことを教えてくれていた。

「朝、か……」

胸をくすぐる寝息と、感覚のない左腕は、オレにとって最上級の幸せの証。

ただ、誘うように上下する胸は、健全なコーコーセイには目の毒でしかないんスよ、ったく。

そういえば、前にエッチしたのっていつだっけ?

ヤバい……早く起こそう。何か別のものが起きる前に。

「結、朝だよ」

髪を撫でてもぴくりともしない。

「結?」

肩を揺すったら手をはたかれた……て、寝てるし!

こ〜らと布団を引っ剥がしたことを、オレはすぐに後悔した。

捲れあがったパジャマ代わりのTシャツから、チラリと覗く腰のラインがなんとも悩ましい。

「寝て、るんスか?」

白い肌を、確かめるように滑らせた指が自制心を失うのは想定内……いや、むしろ確信犯。

おじゃましま〜すと一応挨拶をして、裾から滑りこませた手を背中に這わせると、吸い付くような肌にくらり。

「いいかげん起きないと……」

ゆっくりと仰向けにして、覆い被さったオレの下半身がすっかり元気になっているのは、単なる朝の生理現象だ。

多分。

首筋に唇を這わせ、左手で膝裏から太股を撫でながら、たどり着いた双丘を味わう。

「……ん」と甘い声に気をよくして、シャツの下の無防備な膨らみをやわやわと揉みしだく。

どこもかしこも、どーしてこんな柔らかいんスかね。

あ、固くなってきた。

「黄瀬さ……?」

「起きたっスか?」

な……何してるんですかと、寝起きの顔をほんのり赤く染めて、見上げてくる瞳にニコリと笑う。

「何って、おはようの挨拶っスよ」

抗議の声が上がる前に封じこめた唇が、オレの舌に応えるまであと数秒。

「ん……」

戸惑うように首に巻きつく細い腕がそのサイン。

オレは遠慮なく、朝のご馳走を口いっぱいに頬張った。





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