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【黒バス】今夜もアイシテル

第30章 トリガー



「ゲッ、腹黒メガネ」

「おいおい、青峰。久しぶりに会った先輩にそれはないやろ……てか、ちゃんと練習出てんのかいな?こりゃ明日は雪降るんとちゃうか」

「う、うっせーな」

バツが悪そうにコートを離れる青峰の手から放たれたボールは、キレイな放物線を描きながらリングに向かって宙を舞った。

「相変わらず見事、やな」





すっかり桜を散らせた校庭を彩るのは、目に優しい新緑の木々。

だが、ここ桐皇の体育館には一年を通して華やかな桜が咲き誇っていた。

「今吉さん!お久しぶり……じゃないですね、この前電話でお話しましたし」

「おお、桃井か。こないだは悪かったな。でも、ほんま助かったわ」

淡いさくら色の髪をなびかせながら駆け寄ってくるのは、一見可憐なマネージャー桃井さつき。

その容姿からは想像し難いが、彼女が情報収集と選手の分析に長けた参謀役であることは、すでに周囲の知るところだ。

その桃井に対して向けられた言葉は、今吉にしてはめずらしく心の底から安堵した弱気な声だった。





『ちょっと黄瀬クンの彼女に用があるんやけどな。連絡先教えてくれへんかー?』





桃井の携帯に、そんな電話がかかってきたのは数週間前のこと。

嫌な予感はあったのだ、画面に表示される今吉の名前を見た時から。

だが、居留守が通じるような相手ではない。

なにせ彼は妖怪の類なのだから。

「……もしもし」

『久しぶりやな、桃井。元気しとるかー?』

お陰さまでと返事をしながら、桃井はカシャカシャと脳細胞をフル回転。

『今、電話出るの躊躇せーへんかったか?』

「い、いえ!そんなことは!」

『そーか。で、今日はちょっと頼みがあるんやけどな。実は……』





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