第25章 ヒート
背中を這う舌が肌をジリジリと焼く。
「挿れる、よ」
背後から覆いかぶさってくる掠れた声が耳に届くと同時に、身体の中心を深く貫かれて、結は枕に深く顔をうずめた。
「……ぅ、んん」
「なんで声、抑えんの?」
お仕置きのように耳殻をガジガジとかじりながら、小刻みに繰り返される律動は止む気配がない。
「っ、ん……ふ」
「聞かせてよ、カワイイ声……」
「ゃ、あぁっ」
耳朶をねっとりと舐められて、不用意に声を上げた隙を狙って滑り込んだ長い指が、口内をぐるりと撫で回す。
「ふ……ぁ、ぅん」
無意識に指に舌を絡ませてしまったことが刺激になったのか、少し速度を上げた腰が音を立てて柔肌を打ちはじめる。
「もっと、舐めて……ハッ」
「あぅ……っ!らめ、か、噛んじゃう」
「いいっスよ、結ならいくら……でも、くぅ」
うつ伏せの体勢で、口を閉じることを禁じた指を伝う唾液が、枕をジットリと濡らしていく。
「や、らっ……ぁ、ああっ」
軽く歯を立てた拍子に、膨らむ先端に最奥を突きあげられて、軽く絶頂へと到達した身体がピクピクと震えた。
これで何度目だろう。
呼吸を整える間もなく、次々と与えられる快感に逆らえず、結は息も絶え絶えにベッドに沈みこんだ。
「……結」
「ん、涼太……ゃ、何?」
隙間なく埋められたままの熱が、その律動を止めるどころか勢いを増して暴れだす気配に、結はぶるりと身悶えた。
「嘘……待っ、て……いま動いちゃ、ン」
「くっ……ちょっと腰止まん、ね。てか、結のナカ、うねって気持ちよすぎ……っ」
「ゃ、あっ、ア!」
ずるりと口から抜かれた指が下腹部を伝って、茂みを器用に掻き分ける。
あっさりと探り当てられた敏感な尖りを濡れた指先で押し潰されて、結は奥歯を噛みしめた。
「……っ」
あまりにも強い、快感という名の刺激。
思わず下腹に力を込めたせいで、締めつけた塊の脈動をカラダの内側に感じて大きく喘ぐ。
「ん、熱い……は、ぁっ」
「スゲ……んな締めたら、っ」
一瞬で変わる声色に背中が粟立つ。
「……りょ、うた?」
身体とシーツの隙間に侵入する腕に軽々と引き上げられて、結はぐるりと動く景色をただ目で追いかけた。