• テキストサイズ

【黒バス】今夜もアイシテル

第18章 ホーリーナイト



「ふわ〜ぁ」

寒さに縮こまる背中を伸ばした拍子に、口から出た欠伸が視界を白く染める。

派手なイルミネーションが、目に眩しいだけのこの季節。

騒がしい音楽に浮かれる恋人達が街中に溢れて、歩きにくいことこの上ない。

(クリスマスイブなんて、今の俺には関係ねーし)

そう思いつつ、手を突っ込んだポケットの中、握りしめた携帯に何かを期待する自分が滑稽すぎて笑える。

いくらウィンターカップの最中とはいえ、電話くらいしてこいっつーんだよ。

「ハッ。馬鹿か……俺は」

こんな小さな画面越しの声なんかじゃ満足できるわけがない。

取り出したスマホに微かな温もりを感じながら、画面に親指をスライドさせて弾くようなタップを数回。

『今から行く』

いつもと同じ短いメッセージ。

カバンを肩にかけ直すと、俺は色鮮やかな街並みに背を向けた。






この角を曲がれば、アイツの家は目と鼻の先。

門扉の前をウロウロする小さな人影が目に入り、思わず緩む口許を手で覆い隠す。

いつ来るか分かんねーのに、ずっと待ってたのかよ。

「馬鹿なのは、お互い様ってことか」

淡い光を放つ街灯の下を通った瞬間、ぴたりと動きを止めた彼女の姿に、自然と広くなる歩幅がふたりの距離を埋めていく。

「さみぃ……」

冷気にぶるりと肩を竦めると、俺は温もりを求めるように走り出した。





I wish you a warm Christmas

       with D.Aomine☆




end





/ 521ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp