第17章 ハングリー?
「それって……妬いてんの?」
それは、初めて聞いた彼女の嫉妬。
確かに、今までの素行はそんなに誉められたものじゃなかったかもしれない。
好きでもない女の子と適当に遊んで、適当に楽しんで。
でも、結と出逢って、彼女しか見えなくなって、他のコは一切目に入らなくなった。
『束縛するコはあんま好きじゃないっスね』
以前答えた雑誌のインタビュー。
あれは間違っていた、というか知らなかったのだ。本気でヒトを好きになるということを。
束縛が、どれほど甘くて魅惑的かということを。
「ごめん、なさい。こんな事……言うつもりじゃ」
「謝んないでよ。何それ、すんげぇ可愛い……てか嬉しすぎ」
「りょー……」
「オレはもう結だけ……結しかいらないって、前にも言ったよね。アレ、覚えてる?」
返事の代わりに絡みつく細い足に、背筋がピリリと痺れる。
「何度でも言ってあげる。結しかいらない、もう欲しいのは結だけ」
「私も……涼太しかいらない。涼太が好き、涼太、りょー……たぁ」
恍惚とした顔で繰り返される囁きに意識は飛ぶ寸前。
「んなエロい声で誘って……さっき駄目だって言ったのは、どの口っスか」
不足する糖分を補うように唇を塞ぐと、黄瀬は力が抜けるタイミングに合わせて身体の中心を深く貫いた。
「ん、んーーっ!」
宙をさまよう手を探りあて、絡めた指をひんやりした床に押し付ける。
「ハッ、結っ」
「ゃ、ん、涼っ……太」
欲望のまま揺さぶられて、徐々に上に逃げる身体を押さえこみ、黄瀬はさらに激しく腰を突き上げた。
「ア、やぁっ……ん」
律動の度にシャラシャラと揺れる金の鎖に輝くピアスが、視界の中を行ったり来たり。
バッシュの爪先がキュッと床を擦る度に呼応する水音が、ふたりの快感の密度を増すようにみだらに響いた。
「やぁ、も……そん、なに」
「ハッ、煽ったのは……誰っスか?まだ、許さない、って」
「あ、あっ、ダメ、も……」
「イきそ?いいよ。結、オレで……気持ちよくなって、ホラ」
汗ばむ肌に絡む青いジャージの上、高みに導くように小刻みに最奥を突かれて、白い脚が最後の時を迎えようとガクガクと震える。
「イッて」
「っ、あああぁ……っ!!」