第16章 プライド
バスルームに反響する男女の甘い声。
「結……も、いいから」
黄瀬はバスタブに腰をかけると、足元に踞る結の身体をそっと抱き上げた。
「え……でも、まだ」
「充分っスよ、てかオレが限界。これ以上はさ、ホント……まずいって」
「……大丈夫」
「ん?何が」
「今日は、大丈夫……だから。このままじゃ私……お願い、キテ」
「ホントに……大丈夫、なんスか?」
その魅惑的な誘いに、黄瀬の昂りはピクピクと脈動を繰り返した。
「……涼太」
「だからその声、反則だって」
「あ」
黄瀬はその細い腰を引き寄せると、自分の上に跨がるように座らせた。
「途中でやめらんないよ、いいの?」
「ん……」
返事の代わりに首に縋りつく腕に、黄瀬は奥歯を噛みしめた。
「まだ指で慣らしてないけど……も、挿れて、いいスか?」
掴んだ腰を少し持ち上げて、ピンと上を向く自分の屹立を、結の秘められた場所に押し当てるように微調整。
明らかにシャワーとは違うぬめりに導かれるまま、黄瀬は先端をゆっくりと埋め込んだ。
「ん、ン」
「結、だいじょーぶ?」
「あ……だ、大丈夫、んぁっ」
「もしもの時は、ちゃんと責任取るから」
「せ、責任って、ア、あぁ……っ」
解されていないまだ固い蕾は、まるで噛みつくように、だが高ぶる欲望を少しずつ飲み込んでいく。
「ハッ、キツく、ない?」
「平気……ん、でも、すご……おっきぃ、っん」
「くっ、も……ガマンできない、はやく……結のナカ、入りたい」
黄瀬は自分の腰を大きく突き上げると、細いカラダを一気に貫いた。
「っ、あああぁ……っ!」
背中を反らせながら、乱暴に侵入してきた楔を締めつける貪欲な内壁に、一気に訪れる射精感。
下腹に力を込めると、黄瀬は早すぎる絶頂をやり過ごそうと、大きく息を吸った。
「く、はっ……結、そんな締めたら、ヤバ」
「は……ぁ、は、ぁっ」
「スゲ……何?も、イッちゃったんスか」
「だ、めぇ……今動いちゃ、あ、やっ」
「ハ、それ、煽ってるだけだって」
ヒクヒクと収縮を繰り返す粘膜を味わうように小刻みに腰をゆすりながら、最後の砦のように身体に巻かれたタオルを、黄瀬は強引に剥ぎ取った。