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LAUFEN ODER STERBEN(進撃:エレン夢)

第1章 LAUFEN ODER STERBEN


それなのに少女は馬を理由に壁外へ行くのを拒んでいる。

その事実を知ったエレンは、心のどこかでレイを見下す部分が生まれた。それもそのはずだ。命をかける勇気のない者に口うるさく馬の事でとやかく言われたくはなかった。正直、馬の世話は知識さえあれば誰でも出来るようにも思えた。餌やりだって、掃除だって、それこそ馬糞を投げつけるのだって、片腕しかない兵士にも出来る。わざわざ少女がやる必要など、どこにもない。

「リヴァイ兵長、お疲れ様です!」

「お疲れ様です!」

監視達の突然の声に、エレンは背筋を伸ばして後ろを振り向く。そこにはエルヴィン団長との会議を終えたリヴァイがいた。手には飲みかけのコーヒーを持っているようで、エレンの隣に座ろうとしていた。先輩に遅れて挨拶をしたエレンに、リヴァイは「ああ」とだけ応えて腰を下ろす。そしてペトラとエルドに野暮用を頼んだ。エレンと二人きりになる状況に納得はしなかったものの、己の上司に逆らう事なく、二人は去る。

厳格な上司と二人、エレンは相変わらず慣れない状況に固唾を呑む。しかし妙な沈黙が訪れる事はなく、以外と会話の多いリヴァイから話題は振られた。

「おい、エレンよ」

「はい!」

「調査兵団が何故あの小娘を所属させているか、お前には分かるか?」

小娘、と聞いて一瞬誰だか分からなかったが、意外にもレイの話しは続くらしい。リヴァイですら何か彼女の意見があるのだろうか、とエレンは興味が沸く。そして質問にも素直に答えた。

「っい、いいえ。馬の知識をいっぱい持っているって言う事しか……でも、馬の世話なんてネス班長みたいに上手い人はいますし、よく分かりません」

戦わない兵士、と自然と見下してしまった思いは隠しながらも、出来る限りの本音は伝える。その答えを聞いたリヴァイは、エレンに壁外調査の訓練を思い出すよう言った。

「壁外調査の訓練?」

「そうだ」

気づかぬ内に話題を変えられたのだろうか、とエレンは思ったが、どうやら違うらしい。どこがどうレイと繋がるのかは知らないが、エレンは懸命に調査の訓練時の事を思い出す。こだが、これと言って何か特別な事を思い出す訳でもない。困惑した様子の少年に、リヴァイは手助けをする。
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