第3章 日向翔陽
「沙奈ちゃん、すきぃ」
「ありがとう。私もなっちゃんの事好きだよ」
えへへ、と幼なじみの翔ちゃんの妹のなっちゃんと微笑み合う。
「夏、うるさいっ!勉強の邪魔するなよなっ!!」
「お兄ちゃん!またうるさくして、勉強はちゃんとしてるの!?」
翔ちゃんの声に反応して翔ちゃんママがぷんすかと怒りながら部屋を覗く。
「こら、夏も邪魔しちゃダメでしょ?ごめんね、沙奈ちゃん」
「へ?え、いや、いえいえ!全然構わないですよ」
予想外のときに話しをふられたのでテンパりながら翔ちゃんママに言う。
ごめんなさいね、ともう一度謝られ、なっちゃんを連れて部屋から出て行った。
「夏は、」
翔ちゃんは口を尖らせていたので、また始まると思い遮る。
「ほら、勉強しよ?…赤点とったら遠征いけないんでしょ?」
「っ!?遠征…!!」
再びガリガリと進めていく。
こんな単純な翔ちゃんも可愛いなぁ、と微笑ましく思いながら黙々と課題に取り組む。
暫くして携帯が鳴った。
突然の音に少し驚いたが、誰からだろうと携帯をのぞき込む。