第2章 影山飛雄
「お前らはホンッットにボゲだな!ボゲッ!ボゲッ!」
彼氏であるはずの影山からの罵声を日向と一緒に正座で浴びせられる。
「ゎ、悪かったとは思ってるよ…」
「…ごめんなさい」
口をとんがらせてソッポを向きながら言う日向につられて、いや、少しふざけて日向のマネをして謝る。
「おい、新垣。お前謝る気ないだろ?ぁあ"?!」
…こんな事になってしまったのは数分前に遡る。
*
「翔陽〜!」
「おぉ!沙奈!」
「バレーボールなんて持ってどうしたの?」
「少しでも上手くなろうと思ってバレーの練習っ!!」
屋上に行こうとしたら、たまたまボールを頭の上に乗せた翔陽と出会った。
「…え?1人で?」
「おう!秘密の特訓っ!!」
「いやいや、それより私と練習するべ!もとバレー部の実力なめるなよ!」
「ぅおー!!マジで?!よっし、じゃーさっそく中庭行こうぜ!」
「うん、いこいこ!」
「…おい。俺のこと忘れてるだろ」
「あ"」
「げ、影山」
マシンガントークで翔陽と話していてすっかり忘れていたが隣に影山くんがいたんだった。
ついでに言うとお昼を食べに行こうとしていた事も忘れていた。
「こいつは俺と今から昼飯食べに行くから他当たれ、ボゲ。あとこいつとバレーするのは俺とだ」
「いやいや、お昼食べた後に3人でバレーしようよ。ね、翔陽?」
無駄に不機嫌な影山くんをなだめる。
「…えー、わかった」
面倒だからケンカするなよ、と念じていたら翔陽が折れてくれた。
そして、微妙な雰囲気で屋上へ向かった。