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待ち遠しいその日(銀魂:ミツバ友情夢)

第1章 待ち遠しいその日


 深夜近い時間帯でも、医者と看護婦達は忙しなく治療に専念している。入れられた病棟でも分かる事だが、ここは死を目前に控えている人々で埋められている建物だ。患者にいつ、何があってもおかしくはない。今もまさに、医師達は一人の女性を集中治療室で懸命に診ている。

 先ほど沖田ミツバの容態が急に悪くなったとの報告を受け、真選組旗揚げ前から彼女と親しかった者達はその治療室の前に集められた。しかし後にミツバの婚約者が闇貿易の黒幕だと分かり、その婚約者を捕らえに土方十四郎は一人で敵地に乗り込んだと判明する。大切な二人が、違う場所で、違う理由で命を落としそうになっている。

 長い時を病に冒され、今にも命の灯火が消えそうなミツバ。

 そのミツバの婚約者を無謀にも一人で逮捕しにいった馬鹿。

 どちらかの側にいるなど、本来は選べやしない。けれど、やるべき事は明白だったのだろう。そんな事態でも男達は真っ先に鬼の援護をしに病院を飛び出した。去って行く背中は大きく、今まで以上に頼もしかったのを京は覚えている。

 だが彼らが去って一時間は経過したであろうか。ただ一人、病院に残った京は今、医者に覚悟しろと言われたミツバの側にずっといた。椅子も無い治療室に立ちっぱなしでミツバの手を取る。人工呼吸器をつけたままの彼女は未だに目覚めない。触れている手も冷たく、血の巡りが悪い事を物語っていた。それでもミツバの鼓動は止まる気配をまだ見せない。必死に生きる彼女が眩しい。そんな彼女を少しでも勇気づけられればと、京はミツバに話しかけ続けていた。
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