第3章 ペリドットの癒し
「恥ずかしくて…死んじゃいそう」
「もっと言ってやろうか」
顔を手で覆って恥ずかしがるアレスを、ルヴァイドはからかった。
「この女タラシ!!」
「ははは」
皮肉を言えば、初めてルヴァイドが声を出して笑った。その事に唖然とするアレス。
「…何よ、笑えるんじゃない」
「人を何だと思っているんだ」
「生真面目な根暗」
「もう一度言ってみろ」
据わった目付きに、アレスは舌を出して誤魔化した。
そしてルヴァイドの腕の中から脱出すると、彼に手のひらを差し出した。
「帰りましょう」
「…そうだな」
ルヴァイドはその小さな手を握り返し、ぽつりと呟いた。
「俺も、強くならねばな」
「もう充分強いのに?」
お前を守れる強さが欲しいのだ。
ルヴァイドは胸中で静かに呟いたのだった。